余白がひらく想像の力
絵本作家
谷口智則さん
グリコダイレクトショップでは、絵本作家・谷口智則(たにぐちとものり)さんとのコラボレーション企画で、谷口さん描きおろしの動物イラストを使った特別なスマイルビスコを販売します。子どもから大人まで幅広い世代に愛される絵本を手がける谷口さんにインタビューしました。
――谷口さんの絵本は大人でも楽しめます。絵本づくりで大切にしていることはどんなことですか?
作品をつくるときに大切にしているのは、「答えを言い切らないこと」です。絵本の中に、あえて余白を残しておいて、読む人それぞれが自由に想像できるようにしたいと思っています。
すべてを説明してしまうと、物語の受け取り方が一つに固定されてしまいますが、余白があることで、その人の経験や価値観によって違う意味が生まれます。子どもには子どもなりの理解があるし、大人には大人なりの解釈がある。そうやっていろんな読み方ができることが、絵本のいちばんの良さだと思っています。
時間が経つことで感じ方が変わるのも大きな魅力です。子どもの頃に読んだ時と、大人になってから読み返した時では、受け取り方が全く違うこともあります。そうやってずっと長く寄り添えるものをつくりたいと思っています。
——「この絵本は、うちの子にはまだ分からない」と決めてしまったり、もっと直接的に「好き嫌いをせずに野菜を食べましょうね」というまとめ方をしているような絵本を選んだりしがちだったと、親として反省しています。
それは、どうしてもありがちなことですよね。僕の本について、「この絵本で何が身につきますか?」と聞かれることもあるんですが、そういうことばかりではないと思っています。もちろん学びがあることは大事ですが、それ以上に大切なのは、自分で考える力や想像する力です。
読む中で「どうしてだろう」と考えたり、「自分だったらどうするだろう」と想像したりする体験が、そのまま子どもの力になっていきます。すぐに成果として見えるものではないですが、そういう積み重ねが、後からいろんな場面で生きてくると思っています。
絵本は、何かを教えるためのものというよりも、自分で考えるきっかけになるものだと考えています。
――だからこそ、一生寄り添ってくれる絵本と出合えるんですね。谷口さんの絵本は、主に動物を主人公にしていて、悩んだり助け合ったりしている姿が印象的です。
動物にすることで、「これは自分のことかもしれない」と思ってもらいやすくなるんです。人間の話にすると、どうしても他人の話として受け取られてしまうこともありますが、動物だと自然と自分に置き換えやすいんですよね。
それぞれの動物に特技や弱点を持たせることで、いろんな人が共感できるようにもしています。完璧な存在ではなくて、悩んだり、苦手なことがあったりするからこそ、「自分と似ているな」と感じてもらえるのかなと思っています。また、動物にはもともとイメージがあるので、細かく説明しなくても伝わるという良さもあります。絵本ならではの表現として、とても合っていると思っています。
また、悩んでいる人や、困っている人に光を届けるようなイメージで描いています。最初からずっと明るいだけの話ではなくて、一度悩んだり立ち止まったりする過程があるからこそ、その後の変化がより強く伝わると思うんです。
誰でも悩むことはありますし、失敗もある。それは特別なことではないと思っています。その中で少しでも前を向けるきっかけになればいいなと思いながら描いています。暗さと明るさのバランスがあることで、読み終わった後に残る余韻も大事にしています。
——谷口さんは、子どものころ、どんなことに熱中していましたか?
毎日絵を描いていました。ノートに1日1枚ずつ、好きなキャラクターを描いて学校に持っていっていました。本を読むのも好きで、特に冒険物をよく読んでいました。『トム・ソーヤーの冒険』や『宝島』のように、どこか遠くへ旅に出るような話が好きで、本の中でいろんな世界を体験するのが楽しかったです。乗り物があまり得意ではなかったこともあって、実際に出かける代わりに、本の中で冒険しているような感覚でした。
人前で話すことはあまり得意ではなかったんですが、絵を描いてそれを誰かに見てもらうことは好きでした。自分の描いたものを見せて、「いいね」と言ってもらえるのがうれしくて、それが続けてきた理由のひとつだったと思います。
今振り返ると、その頃から「自分でつくったものを誰かに見せる」ということが好きだったんだと思いますし、今の活動にもつながっている感覚があります。
――子どもの頃のおやつの思い出はありますか?
小さい頃は、クッキーを作るのが好きでした。小学校3〜4年生くらいから、本を見ながら妹と一緒に型抜きクッキーを焼いていました。
つくったクッキーは、学校を休んだ友達のところに持っていったりしていましたね。自分で作ったものを誰かにあげて、喜んでもらえるのがうれしかったんだと思います。今思うと、絵を描くこともそうですが、自分の手で何かをつくって、それを見せたり届けたりすることが好きだったんだなと感じます。
――今回のコラボでは、谷口さんの作風では珍しい、笑顔の目元の動物たちを描き下ろしてくださいました。
普段の作品の雰囲気を大事にしながらも、今回ならではの新しさも出したいと考えていました。「スマイル」というテーマだったので、上に開いたカーブの笑っている目の表情を初めて描いてみました。これまであまり描いてこなかった表現なので、新しい挑戦でもありましたが、やってみると結構かわいくなったと思っています。
パッケージに「おつかれさま」「またね」などメッセージがついているのも面白いところで、誰かに配ったり、「これはこの人に合いそう」と選んだり、いろんな楽しみ方ができると思います。使い方は決めずに、それぞれ自由に楽しんでもらえたらうれしいです。
谷口智則さん プロフィール
絵本作家
1978年生まれ。
2004年『サルくんとお月さま』で絵本作家デビュー。
日本画の持つ空間や色調を生かした作風で、日本だけでなく海外でも数々の絵本を出版。
『くいしんぼうのクジラ』や『カメレオンのかきごおりや』でようちえん絵本大賞受賞の他、受賞歴多数。
絵本『100にんのサンタクロース』を始めとするサンタシリーズは累計37万部突破のベストセラー。
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谷口智則さんが「初めて描いた」という、特別な笑顔の動物たちが、スマイルビスコに! 2026年8月31日までのグリコダイレクトショップ限定販売です。
1箱20個入り(1パック5枚)/ オリジナルポストカード付
4,375円(税込)